2016年01月28日
【考察】ワケギはいつから食べられているのか?

まあ、こんな仕事をしていると、野菜についていろいろ問い合わせが入ります。
本日いただきました依頼は
「香川県におけるワケギの来歴を教えてください」
とのこと。
結構ハードルの高い御依頼です。
基本的に、香川の郷土野菜
(ここでは、伝統野菜ではなく、香川の食文化を構成する野菜と言う位置づけ)
はデータが全くなく、非常に説明が難しいのです。
でも、まあ、野菜の貴公子としては、いただいた依頼に対しては120%以上の回答をしないと気が済みませんので、頑張りました。

これはデータがありません。
高松市中央卸売市場の市場年報によると
昭和48年から「ワケギ」と言う表記が出てきています。
ただし、ワケギが日本にもたらされたのは今から1500年も昔のことなので、それはもうかなり前であることが考えられます。
で、どれくらい記録をさかのぼれるかと言うと
「聞き書 香川の食事」には、山間部、平野部、海岸部といずれの食文化にもワケギの料理が出てきますので明治末期には既に食文化として成立していたことがわかります。
で、そもそも、現在の食文化は江戸時代に成立していますので、江戸時代にはあったのだろうと考えられます。
そして、決定的な文献。
高松松平藩の書物
写生画帖「蔬菜」
を紐解きますと、ありましたありました。
「冬葱」として分葱の存在を確認出来ました。
つまり、18世紀半ばから後半にかけては、すでに文化として成立していた、って感じですね。


2 現状
これだけではもったいないので、全国の比較をしてみますと驚くべきことがわかりました。
(1)香川県にはワケギの栽培が無いことになっている!
農林水産省の『地域特産野菜生産状況調査』を見てみると
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokusan_yasai/
香川県にはワケギの栽培が無いことになっています。
「そんなあほな!」
現在、高松市中央卸売市場に出荷されているワケギだけでも47t(H26)
最大で110t位の取り扱いがありました。
県内には、他地方卸売市場があり、また産直出荷も結構ありますので、
本気で調査すると、全国トップ3くらいには切り込めるほどの生産量があるはずです。
(2)熊本県のワケギの調査は面白い!
ワケギは基本栄養繁殖なので、品種が固定されているのですが、全国には数種類のワケギの系統は存在します。
熊本県の農業試験場では、郷土料理に合うワケギの系統はどれか!?なんて研究もされています。
香川県は、ワケギ文化がかなりあるエリアなので、
もっと研究がされてしかるべき品目なのかな、とほんまに思いました。
Posted by ゆうみんのいい奈良漬け at 18:13│Comments(0)
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