
2011年07月15日
その4 鮮度とは?
【連載】ホントはやさしい野菜のはなし〜その4 鮮度とは?
買い物の時、決まって新鮮な野菜を選びますよね。
それでは、なぜ「買い物の時新鮮なものを選ぶ」のでしょうか。
「きれいな野菜をかうと気分がいいから?」
「古い野菜は美味しくなさそうに見えるから?」・・・
本質はどこにあるのでしょうか。
今回は、野菜の鮮度について考えてまいりたいと思います。
当たり前のことでしょうが、野菜は植物です。間違っても、工業製品ではありません。
野菜など生鮮食料品を英語に直すと
Perishables
生もの、つまり生き物です。
収穫した後、そして店頭に並んで冷蔵庫に入っている間も生き続けています。
まず、野菜を考える前に、植物とは何なのかを考えてみましょう。
植物は言わずもがな「生物」です。
生物であるから以上、何かしらの生命維持活動を行っています。
植物の活動を考える上で忘れてはならない大きな活動が「光合成」と「呼吸」です。
小中学生でこのあたりの内容は十分学習してきていますので深くは触れませんが、
大雑把に言って、
光合成とは二酸化炭素と水を吸収し日光を浴びることにより酸素を吐き出す活動で、
呼吸はこの逆で酸素を吸収して二酸化炭素を吐き出す活動です。
ここで重要なことは、酸素や二酸化炭素ではなく、光合成と呼吸により植物体内で増減する
「糖」
の存在です。
植物は、光合成により体内に「糖」を蓄え、呼吸により「糖」を消費して生きている生命であることを忘れてはなりません。
【呼吸】酸素+糖→二酸化炭素+水+活動エネルギー
【光合成】二酸化炭素+水+太陽エネルギー→酸素+糖
よくテレビ番組で、レポーターの方が畑に行き、野菜を収穫してその場で試食し
「美味しい〜」
というコメントをする映像が流されます。
でも、これは野菜が畑で十分に糖分を蓄えた状態であるので、言ってみれば当たり前のことなのです。
皆様も、ご家庭の家庭菜園で取れた野菜がとても美味しかったという経験をお持ちだと思います。
野菜は、収穫したてはとても美味しい食材なのです。
ただし、収穫してしまうと、光合成による当分の蓄積はなくなります。
それでも、まだ植物は生きていますので呼吸は続けます。するとどうなるでしょう?
呼吸は「糖分を消費する活動」ですので、つまり鮮度が低下するほど、野菜の美味しさは減っていくということが分かります。
植物の鮮度=美味しさ
であることが分かると思います。皆様が店頭で新鮮な野菜を選ぶのは、
無意識のうちに美味しい野菜を選んでいるということなのです。