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2013年09月28日

市場トリビア~ん R 第9話~芋の到来

市場トリビア~ん R
第9話~芋の到来

秋に旬を迎える青果物といえば「イモ」。少し肌寒くなると,イモ無しの食卓は考えられません。さて,

「芝居浄瑠璃芋蛸南瓜」(しばいじょうるりいもたこなんきん)

江戸時代の女性の好きなものの例えとして,井原西鶴が記した*ともいわれるこのフレーズの中に
「芋(イモ)」がでてきます。

問題:この「芋(イモ)」は何イモのことでしょう ?
(1) サトイモ(サトイモ科の植物)
(2) ヤマイモ(ヤマノイモ科の植物)
(3) ジャガイモ(ナス科の植物)
(4) サツマイモ(ヒルガオ科の植物)

市場トリビア~ん R 第9話~芋の到来


解説:正解は(1)里芋


サトイモとヤマイモは私たち日本人の食生活に古くから登場した作物です。
サトイモの文献への登場は実に古く,奈良時代には導入されていたという記録が残っています。
万葉集にも歌が残っており,家芋(イエツイモ)という表現で登場します。
歌の一例としては以下のものがあります。**
「蓮葉は かくこそあるもの 意吉麻呂が 家なるものは 芋の葉にあらし」
(解釈)宴席では蓮の葉に料理を盛るのが粋なのですが,高価なので家では芋(里芋)の葉を利用する
葉を食器として利用するという文化が成立しているという時点で,かなり作付け広がっていたのだと想像できます。
それと,「粋でない」=「芋」というのはずいぶん昔から使われていた比喩なのですね。


さて,今でこそいろいろな芋が店頭に並んでいますが,江戸時代までは「芋=里芋」のことでした。
今でこそ「イモ=サツマイモ」をイメージされる方が多いかもしれませんが,サツマイモは18世紀当初に薩摩藩にもたらされ栽培が開始しました。
一方,「芝居浄瑠璃芋蛸南瓜」を井原西鶴が著したとすると,井原西鶴が生きた時代(1642年~1693年)との矛盾が生じます。


普段見慣れている食材でも,ちょっと切り口を変えると意外な発見がありますよね。

以上,「市場 トリビア~ん R」でした!


*「芝居浄瑠璃芋蛸南瓜」を井原西鶴が記したという出典は明確ではありません。
** 「食の万葉集」廣野卓著/中公新書


タグ :サトイモ

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Posted by ゆうみんのいい奈良漬け at 22:19│Comments(0)市場トリビア〜ん
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